2年ほど前、変わり映えのしない毎日を変えたくて、安易な気持ちから地元のうるま市を離れて浦添市に転職しました。うるま市の実家から1年ほど職場に通い、2019年にようやく一人暮らしを決意して、浦添市に住居を移したのです。
沖縄出身、普段は会社員として働き、休日にライター活動をしているテルヤ ミクです。
浦添市のことを何も知らなかった私にとって、この街で一人暮らしをするのは不安だらけ。浦添市は那覇市の隣にある立地のいい街。そんな印象が強く、うるま市育ちの私が馴染める街なのだろうかと内心では疑心暗鬼だったのです。
しかし、実際に浦添市に住んでみると、その心配はすぐに吹き飛びました。
初めて浦添市の美容室に訪れた時、引っ越してきたばかりで何もわからなかった私に「ここは近場で何でも揃うからね~。みんな優しいし住みやすい街だよ」と話してくれた美容師さん。
焼き鳥がおいしい居酒屋やおしゃれなパン屋を教えてもらい、その優しさが今からこの土地で暮らしていく私の不安をかき消してくれたのです。そのとき、美容室にいたお客さん同士が楽しくおしゃべりしている様子を見て、住人同士の結びつきの強さがこの街の良さなのかもしれないと感じました。
今回の記事では、会社員として働く私が浦添市のリアルな暮らしについてお伝えします。
目次はこちら
那覇市の北に位置する、浦添市は沖縄第4の都市
那覇空港から車で20分、那覇市の北に位置する浦添市。総人口は、令和元年7月時点で114,860名(浦添市の公式サイトより)となり、那覇市、沖縄市、うるま市に次ぐ人口の多さから「沖縄県第4の都市」といえます。
普段は静かな街ですが、旧盆前や年末年始になると、これほど多くの住人がいたのかと驚くほど、あちこちのスーパーマーケットが混雑して活気づきます。
沖縄の南北を貫く幹線道路の国道58号線を境界線に、西側には米軍基地のキャンプキンサーが広がり、東側には住宅がギュッと密集した街並みが続きます。瓦屋根の古風な浦添市立浦添中学校や、さらに一本裏道に入ると「浦添城跡」と琉球王国初期の王陵である「浦添ようどれ」などの歴史的文化財が残り、不思議と住宅街に溶け込んでいます。
1200年から1400年までの間、浦添市は那覇市首里以前の琉球王都として栄えて、貿易や文化を司っていたそう。歴史や文化、自然が暮らしに密接した街。それが浦添市のイメージです。
しかし、主だった観光地が少ないため、市外の人々や観光客に浦添市の存在は、あまり認知されていないのが現状のようです。浦添市に住むまでは、私も琉球王国の歴史が詰まった街だとは知りませんでした。
2019年10月から、沖縄都市モノレールが浦添市まで拡張!より便利になった交通手段
那覇市内を運航していた沖縄都市モノレールは、2019年10月1日、浦添市まで拡張されました。(写真は工事中のもの)
2019年9月まで終点だった首里駅の先に4つの駅が延長され、終着駅となる「てだこ浦西駅」ではパーク&ライドといって、駅周辺の駐車場に自家用車を停めることで、車とモノレールを連携して移動できるようになりました。
交通が便利になるとともに渋滞緩和が期待されています。てだこ浦西駅の周辺はもともと畑や荒地でした。モノレール駅の工事とともに、大型の商業施設やホテルなどの複合施設が建設されて、開発が進むにつれて駅周辺が賑やかになってきました。
浦添市内まで拡張する沖縄都市モノレールがもたらすもの
那覇市内を運航していた沖縄都市モノレールは、2019年10月以降を目処に浦添市まで拡張されます。
2019年9月現在、終点の首里駅。その先に4つの駅が延長され、終着駅となる「てだこ浦西駅」ではパーク&ライドといって、駅周辺の駐車場に自家用車を停めることで、モノレールを利用して移動できるようになります。
交通が便利になるとともに渋滞緩和が期待されています。てだこ浦西駅の周辺はもともと畑や荒地でした。モノレール駅の工事とともに、大型の商業施設やホテルなどの複合施設が建設されて、開発が進むにつれて駅周辺が賑やかになってきました。
浦添市内まで拡張する沖縄都市モノレールがもたらすもの
沖縄には電車がないため、お酒を飲んだら運転代行を利用するか、タクシーを使う移動手段しかありません。
お酒好きな沖縄県民にとって頭を悩ませるのが、車での移動問題。家から徒歩圏外でお酒を飲む際に車で出かけると、帰宅時に運転代行を呼ぶので、その分料金が高くついてしまうデメリットがあります。
浦添市までモノレールが開通すると、車を使わなくても那覇まで移動でき、行動範囲を広げられます。交通渋滞でイライラしなくて済むし、モノレール駅の完成が今から待ち遠しいです。
住宅地が密集する浦添市!朝夕の道路渋滞は免れない
浦添市は住宅地が密集した静かで落ち着いた街ですが、朝夕の通勤・帰宅ラッシュの時間帯は交通渋滞が多く、雨の日や学校の夏休み明けはさらに混雑するため、早めに出勤しています。
また、大通りから中道に入ると道幅が狭い道路もあり、急な坂道が出現したりもします。引っ越してきたばかりの時は、慣れない狭い道を運転するのに神経を使いましたが、おかげで今は運転スキルが少し向上した気がします。
琉球王国の歴史を感じられる「てだこの街」。大きな公園で自然と触れ合いながら楽しく学んで遊ぶ
緑に囲まれた豊かな遊び場である沖縄県営の「浦添大公園」。敷地内には大きな木が茂り、遊具だけでなく、「浦添城跡」や「浦添ようどれ」などの歴史的文化財もあります。
犬の散歩やウォーキングをしている人も多く、街の中では触れることのできない自然がやすらぎを与えてれます。自然と沖縄の文化を生かした公園は、人々の生活に根付いていました。
琉球王国時代を思い起こさせる石垣のトンネルや瓦屋根の付いた遊具があり、子どもたちは遊びながら古き良き沖縄を感じることができるのです。
甥っ子を遊ばせたときに、松ぼっくりやアダンの実を一緒に拾ったり、バッタを追いかけたりして、大人の私でも童心に帰った気持ちで一緒に楽しんでいて、市街地にあるとは思えないほど自然豊かな公園で日常を忘れてゆっくり過ごした記憶が残っています。
国立劇場、美術館もあり、子どもの豊かな感性を育てることができる教育にも良い街
浦添市には組踊や琉球舞踊など、沖縄の伝統芸能を鑑賞できる「国立劇場おきなわ」があります。琉球漆器が常設展示された「浦添市美術館」では、沖縄の歴史を学べ、漆器作りや陶芸などの体験教室やイベントが定期的に開催されています。
沖縄県内外のカルチャーを発信して、子どもたちにも沖縄の美術や芸術に触れ合う機会となっているようです。
毎年、浦添市では浦添市街の歴史と文化を見学しながら歩く「てだこウォーク」というイベントを開催しています。琉球王国時代の歴史を持つ浦添市ならではの取り組みは、子供も大人も一緒に沖縄の歴史について学ぶことができるのです。
那覇にも近く、日常生活の必需品に事欠かない便利な浦添市は、人々との距離も近い「住みやすい街」
浦添市は住宅地が密集しているため、人々の暮らしが街中にぎゅっと詰まっている印象。学校や病院、スーパーマーケットが徒歩圏内にあり、日常生活に関していえば、車がなくても住みやすい街だといえます。
よく利用するのが、浦添市経塚にあるショッピングモールの「経塚シティ」。衣類や家電、生活雑貨など、生活必需品をまとめてそろえられ、比較的空いた平日の夜、仕事終わりに少しだけリフレッシュしたい!とウィンドウショッピングをして楽しんでいます。
24時まで営業する沖縄のスーパーマーケット「浦添りうぼう」は、遅くまで仕事をしていた時でも時間を気にすることなく買い物ができて助かっています。
弁当チェーン店の「ほっともっと」や牛丼チェーン店の「吉野家」なら、24時間営業なので一人暮らしの会社員にとっては、とても便利です。
浦添市沢岻にある「ナカハラストアー」は地元の人に愛される24時間営業のスーパーマーケット。惣菜やお弁当、100円そばなどが夜中でも販売されていて、中でも人気なのは手作りおにぎりです。
売り切れても大丈夫!店員さんに頼むと作りたてを持って来てくれます。私が好きな具材は「鶏そぼろ」。甘辛い鶏そぼろがご飯とマッチしていておいしいんですよ。
浦添市牧港にある「A&W」は、24時間営業のファストフード店。車に乗ったまま、インターフォン越しに注文すると、スタッフが車まで持ってきてくれる不思議なシステム。ドライブスルーならぬドライブインスタイルになっています。
外の広場には滑り台などの遊具が置かれたプレイランドがあり、特に噴水のある遊び場は子どもたちに大人気です。休日は、プレイランドで友人の子どもを遊ばせながら、友人とゆっくりおしゃべりするという過ごし方ができるお気に入りの場所です。
2018年3月18日、浦添西海岸道路が開通!海を身近に感じるようになった浦添市
もともと浦添市には海がないイメージがありました。
それは、米軍基地の米軍牧港補給地区であるキャンプキンザーに西海岸の綺麗な海が隠れていたからです。しかし、2018年3月にキャンプキンザーの一部、国道58号線に隣接する約3ヘクタールの土地が沖縄に返還されました。
それに伴って浦添市西側の海岸線に「西海岸道路」が開通し、「浦添市にも海あるんだよね?」と沖縄の海が身近にあったことを改めて実感できた気がします。西海岸道路をドライブしながら眺めるエメラルドグリーンの海には圧巻です。
浦添西海岸道路に開業した「サンエー浦添西海岸パルコシティ」
2019年6月に「サンエー浦添西海岸パルコシティ」がオープンしました。
県内初出店の店舗や、体感型映画館4DXが登場するなど、今後ますます浦添市は発展していきそうです。私もパルコシティに行くのが休日の楽しみになりました。ショッピングの後、海を展望できるフードコートで食事をして、非日常的な時間を味わっています。
夕方になると屋上の展望デッキからサンセットの景観が広がり、沖縄最新の大型ショッピングモールにいながら西海岸の海を眺められるのは最高の贅沢です。
今まで大きな娯楽施設がなかった浦添市。市外に出ずともショッピングや映画、西海岸の絶景を気軽に楽しめるのが嬉しいですね。
浦添市唯一の天然ビーチ「カーミージー」
実は西海岸の道路沿いには釣り人以外、地元の人でも知る人ぞ知る、穴場の天然ビーチがあるんです。それは、港川の空寿崎(くうじゅざき)にある海岸「カーミージー」と呼ばれる場所です。カーミージーとは「亀の背」という意味。ごつごつした岩が亀の形に見えることからこの名が付けられたそうです。
カーミージーは「イノーの海」と呼ばれています。
イノーとは沖縄の方言でサンゴ礁に囲まれた礁池のこと。カーミージーには自然のままの貴重なイノーが3㎞にも渡って続いており、希少な海洋生物が多く生息しているのです。ひっそりと残っていた天然のビーチが西海岸道路の開設により、市外の人々にも知られるようになりました。
今後さらに西海岸の開発は進みますが、豊かな自然環境が残った海は残してほしいと切に願っています。
海の観察会を開催している団体「カーミージーの海で遊び隊」は、浦添の海に住んでいる希少な生物のこと、そして自然保護の重要性を子どもたちに知ってもらうために定期的に海の観察会を行っているらしく、機会があったら行ってみようかなと企んでいます。
平日勤務の会社員として暮らす私の、浦添リアルライフ
私にとって浦添市は都会と田舎、そして歴史や文化と日常の暮らしが混ざったチャンプルーな街だともいえ、住宅街には昔ながらの商店や理容室が残っていて今もなお地域の人たちの生活を支えています。
スーパーマーケットやコンビニ、学校や病院などが家の近くにあり生活に不自由のない便利な一面と、歴史的文化財や周辺の路地裏にはどんなものがあるんだろうとワクワクして冒険心をくすぐられる街です。
住みなれない街で暮らし始めた当初は、実家に帰りたいなんてホームシックにもなったけれど、モヤモヤした時にひとりで海を見に行っては、ぼーっとしたり。今では浦添市での暮らしに心地よさを感じています。
浦添市に引っ越してきたことで、沖縄の歴史に興味のなかった私が沖縄のことをもっと知りたいと思うようになりました。楽しく気ままな一人暮らしを満喫しつつ、この浦添の街を今後も探検する気満々です。
(執筆・撮影/テルヤ ミク、編集・撮影協力/OKINAWA GRIT 代表 みやねえ)
■こちらの記事も読まれてます