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西原町で暮らす沖縄移住女子が語る「子育てのリアル」 – 沖縄の暮らし Vol.2

 2023-01-10
西原町で暮らす沖縄移住女子が語る「子育てのリアル」 – 沖縄の暮らし Vol.2

皆様はじめまして。関西出身、沖縄でほそぼそとライター業などをしつつ暮らしている、じーまみーと申します。今回ご縁があり、『沖縄の子育てと暮らし』をテーマにコラムを書かせてもらうことになりました。どうぞよろしくお願いいたします。

私が沖縄移住した理由

気がつけば沖縄移住歴も15年以上となり、七難隠してくれていたはずの色の白さはどこへやら。毎年夏になれば、腕は左右で全く色が違う運転焼け、足の甲にはくっきりと島ぞうり(=ビーチサンダル)焼けを浮かび上がらせております。

実は移住者よりも沖縄出身の女性のほうが日焼けに気を使っていることが多く、「すぐに黒くなっちゃうから!」と日焼け止めはもちろん、日傘にサングラス、アームカバーを欠かさない友人もいるほどです。

沖縄県西原町の暮らしそんな私が20代半ばで沖縄移住した理由は、簡単に言ってしまえばいわゆる『沖縄病』を患ったからに他なりません。幼少期からずっと関西育ちで沖縄には縁もゆかりも無かったのですが、大学生時代に旅行で初めて訪れた沖縄で出会った風景、文化、食べ物、音楽…そのすべてにすっかり魅了されてしまいました。

大学卒業後に就職したITベンチャー企業では、深夜〜明け方までの激務を日々こなしつつ、GWや年末年始などの長期休暇になれば、必ず沖縄を訪れて細胞の隅々まで沖縄成分をたっぷりチャージする、という生活を2年、3年、と送るうちに、ふと思ってしまったのです。

「沖縄に住みたい!」

今でこそ格安航空会社やLINE、Facebookといった無料通信アプリの登場で、リモートワークや場所に捕らわれない働き方といったものが一般的になり、移住に対するハードルが随分と下がったように感じます。当時は移住といえばそれこそ人生の一大転機であり、賭けともいえるほどの大きな出来事だったように思います。実際、親や友人にもかなり驚かれました。

沖縄県西原町の暮らししかし幸運なことに、当時の私の仕事はパソコンとインターネット回線があれば、なんとかなる内容。「これ、もしかしたら沖縄に住みながら今の仕事を続けることが可能なのでは…?」という考えが頭をよぎったが最後。もういてもたってもいられず、ダメ元で勤務先の社長に「沖縄に住みながら仕事をしたい!」と熱い想いをプレゼンしてみたところ、なんとあっさり「いいんじゃない?」との返事。(ベンチャー企業を立ち上げるだけあって、めちゃくちゃ考えが柔軟な方でした)

というわけで意外とあっけなく、そして仕事の心配をしなくてもいい、とても幸運な方法で沖縄に移住できることになったのです。移住の数年後にはその会社を退職してしまいましたが、私のわがままに快く協力してくれた社長と同僚たちには、今でもとても感謝しています。

沖縄移住したはいいけれど仕事がない、給料が安い、といった話は昔も今もよく耳にします。沖縄に限らずこれから移住を考えている方は、ぜひ何かしら手に職をつけることをおすすめします。現地企業に就職して働くにしても、これからの人生を通して必ず武器になるはずです。

育児をしやすい環境が嬉しい「沖縄の子育て事情」

うっかり前置きが長くなってしまいましたが、本章からは今回のテーマである沖縄での子育て事情について、私の視点からご紹介したいと思います。移住の数年後、同じく本土出身の移住者である夫と出会い結婚。現在、5歳になる長男との3人暮らしです。

 沖縄は子ども連れにとっても優しい

沖縄県西原町の暮らし沖縄は今の時代でも3人〜4人兄弟は当たり前という子だくさんの地域柄もあり、基本的には子どもに優しい人が多く、子育てしやすい環境が整っていると感じます。

スーパーマーケットで買い物をしていても、店員さんがニコニコと見守ってくれたり話しかけてくれたり。また飲食店では、キッズチェアや子ども用のプラスチック食器が用意されていたり、自由に利用できる絵本や小さなおもちゃが置いてあったりと、子連れで利用しやすい環境が整っているところが多いです。

特に県民のソウルフードである沖縄そば屋は、子連れでも安心して訪れることができる飲食店の代表格。食べやすいように麺を短くカットできる、麺カッターを貸し出してくれるお店もありました。

また、沖縄そばに加えてゴーヤーチャンプルーなどの定食類が食べられる、いわゆるうちなー食堂も、広々とした座敷席があり、子連れフレンドリーなお店が多いのです。

息子がまだ乳児だった頃、初めての育児に奮闘中、座敷に寝転がせながら外食できるだけでも、とても良い気分転換になったことを覚えています。

また沖縄は、無料で遊べる広々とした公園が多いのも魅力。遊具類も充実しており、年齢別にエリアが分かれているところや、一定時間ごとにクールダウンのためのミストが噴き出る仕掛けがあるところも。

近隣の米軍基地関係のファミリーや、最近では海外からの子連れ観光客も多く公園を訪れるので、ちょっとした異文化交流ができるのも沖縄ならではの魅力ではないでしょうか。我が家の息子も、Hello、Thank you、Good-bye、你好、謝謝ぐらいの挨拶は言えるようになりました。

沖縄県西原町の暮らしそしてもうひとつ。忘れてはならない無料で遊べるスポットといえば、海。

独身の頃は海遊びといえば、岩場など魚影が濃い場所でのシュノーケリング専門で、クラゲ除けネットのついたビーチで泳ぐなんて想像もしませんでした。しかし、子どもを海で遊ばせるようになり、そのありがたさが身にしみるようになりました。今住んでいる家から海が近いこともあり、保育園帰りにちょっと海で遊ばせる、なんてこともできてしまうのが沖縄暮らしの醍醐味です。

但し、日中はもちろん夕方でも紫外線が強く、露出の多い水着だけで泳がせるのは危険。長袖ラッシュガードやつばのある帽子などで日焼け対策をしっかりと行いましょう。大人も同様です。

 西原町は、ほどよい田舎で住み心地よし

次に、私が住んでいる地域についてご紹介します。現在私が住んでいるのは、那覇市の北東に隣接する西原町(にしはらちょう)という地域。推計人口34,642人(2019年6月1日現在)、町内には県内唯一の国立大学『琉球大学』をはじめ、3つの大学があることから『文教のまち』として知られています。

沖縄本島の東海岸側にあるのに「なぜ西原なのか」というと、西原町はかつて琉球王国時代の中心地として栄えた首里の北側に位置しており、沖縄の方言で「北はニシ」と発音することに由来しているのだそう。ちなみに西はイリ、南はフェー、東はアガリと発音します。

町を代表する見どころといえば、国指定の史跡・内間御殿(うちまうどぅん)ぐらい。おそらく県外からの観光客がわざわざ訪れることはないであろう地味な町。ですが、大型ショッピングモールや広い公園、ビーチもあり、那覇までのアクセスも良いとあって生活に不便はありません。特に子育てをしながら暮らすのに、ゴミゴミしていないほどよい田舎感が個人的にとても気に入っています。

沖縄といえば車社会のため、朝夕の通勤ラッシュ時間帯にはかなりの渋滞になる地域が多いのですが、西原町内では坂田交差点付近が多少渋滞するものの、そこさえ通過すればほぼ流れはスムーズ。

私も通勤のため西原町から那覇市内まで通っており、ドアトゥドアで約25分。関西に住んでいた頃は、雨の日の通学や通勤は心の底から憂鬱でしたが、今や通勤ストレスはゼロ。好きな音楽やラジオを聴きながらの通勤ドライブを楽しんでいます。

また現在、お隣の与那原町(よなばるちょう)の海側に大型MICE施設の建設が計画されており、沖縄自動車道の南風原北インターから西原〜与那原を結ぶ新しいバイパスが建設中。このバイパスが開通すると沖縄自動車道へのアクセスがぐっと良くなり、那覇空港や本島北部のやんばるへも行きやすくなるため、さらに利便性が上がりそうです。

 沖縄の独特な保育園事情とは!?

沖縄県西原町の暮らし次に、お子様がいる方なら気になる保育園事情について。

我が家は共働きのため、息子を0歳から保育園に通わせています。子どもの数が多い沖縄では東京や大阪などの都心部同様、全国的に見ても待機児童数が多く厳しい状況が続いています。もし小さなお子さん連れでの移住を検討中の方は、沖縄県のウェブサイトで各市町村別保育所入所待機児童数をチェックし、競争率の比較的低い地域を狙うのもひとつの方法です。

沖縄の保育園事情で私がいちばん驚いたのは、5歳児クラスの無い保育園が多いということ。私が育った地域では、幼稚園から小学校に上がるか、保育園から小学校に上がるかのどちらかしか無かったのですが、沖縄では5歳児クラスの無い保育園に通っている児童は、保育園を卒園後、一年間だけ幼稚園に通ってから小学校に入学するのが一般的なんだそうです。

その理由は、戦後沖縄がアメリカに統治されていた時代に、就学前教育が盛んだったアメリカ流の教育方針を取り入れた名残だと言われています。

息子の通っている保育園では5歳児クラスがあるのですが、その定員は現在の4歳児クラスの約半分。ちょうどその瀬戸際の年齢の子どもがいる保護者たちは、申込み願書を提出する時期が近づくと、幼稚園に行かせるか、継続して保育園に通わせるか、の選択を迫られることになるのです。(我が家も目下、悩み中)

ただ、県内でも地域によって多少の違いはあると思いますので、詳細は市町村の窓口に問い合わせてみることをおすすめします。

その他にも、給食やおやつの献立にタコライスや沖縄そば、クーブイリチー、サーターアンダギーなどの沖縄料理が取り入れられていたり、運動会の演目ではエイサーが定番だったり、紙おむつのことをメーカー関係なく全て「パンパース」と呼んだり、外遊び用に島ぞうりが必須だったりと、未知なる沖縄独自の保育園文化に出会うたび、驚くとともに面白いなあと関心してしまいます。

沖縄の公園を紹介!じーまみー家お気に入りの公園3選

前の章でも少し触れた沖縄の公園について。我が家のお気に入りで、毎週末に行っていると言っても過言ではない3つの公園をご紹介したいと思います。

楽しいイベント、雨天ならキッズルーム!沖縄県総合運動公園(沖縄市)

沖縄県西原町の暮らし 沖縄県総合運動公園沖縄県総合運動公園、通称・県総(けんそう)。東海岸の海に隣接した広大な敷地の中に、遊具広場、ボート池、レンタサイクル、オートキャンプ場、レクリエーションプール、スポーツ施設などが集まっており、一日中遊べてしまうスポットです。

餅つきや焼き芋など、季節に応じたさまざまなイベントが開催されており、中には流しスパゲッティなどユニークな企画も。母の日にはエプロン、父の日にはネクタイ、七夕には浴衣など、ちょっとした衣装を身につけることで、ボートやレンタサイクルが無料になる企画もあり、園内の掲示やFacebookを随時チェックしておくとお得に利用できます。

郷土館という建物の中に室内キッズルームもあるので雨の日でも安心。1時間1,000円で広々としたパーティールームをレンタルすることも可能。オートキャンプ場は、GWや夏休みにはすぐに予約が埋まってしまうほどの人気なので、早めの予約をおすすめします。

親子ともに嬉しい立体トランポリン遊具!県営中城公園(中城村)

沖縄県西原町の暮らし 県営中城公園世界遺産・中城城跡に隣接した、これまた広大な敷地に広がる県営中城公園。

2013年オープンした比較的新しい公園です。この公園の名物は立体トランポリン遊具。大きなトランポリンの下の空間はネット遊具になっており、立体的に上下移動しながら思いっきり身体を動かして遊ぶことができます。また、遊具の下が大きな日陰になっているので、下の子をベビーカーで休憩させながら、上の子を思いきり遊ばせることも可能なのが嬉しいポイントです。

園内を小さな川が流れており、シリケンイモリやエビ、オタマジャクシなどの生き物を見ることができます。100円ショップなどで売っている魚用のアミと飼育ケース(虫かご)を用意して行けば、じっくり観察できるのでおすすめ。観察後は、持ち帰らずにリリースして帰るようにしましょう。

平和や命についても学べる、沖縄県平和祈念公園(糸満市)

最後は糸満市にある沖縄県平和祈念公園。こちらは先にご紹介した2カ所とは少し趣が異なり、単なる遊具のある公園ではありません。

沖縄県西原町の暮らし 沖縄県平和祈念公園

沖縄県西原町の暮らし 沖縄県平和祈念公園園内には沖縄戦の写真や遺品などを展示した平和祈念資料館、沖縄戦で亡くなった人々の名前が刻まれた平和の礎などがあり、子どもを遊ばせながら命の大切さについて考えることができる公園となっています。乗り物好きなら、カートに乗って広大な園内をぐるりと巡ってみるのもおすすめです。

沖縄県西原町の暮らしエリアごとに分かれた遊具広場ももちろん楽しいですが、沖縄平和祈念堂の裏辺りに位置する美ら蝶園も隠れた名物スポット。ハウスの中では日本最大級の大きさを誇る蝶、オオゴマダラが優雅に飛ぶ姿を間近に観察できます。遊具遊びの後などにぜひ立ち寄ってみてください。

いつまで経っても沖縄病は治りそうにない

沖縄県西原町の暮らし 赤瓦屋根の古民家沖縄の暮らしと子育て事情をざっくりとご紹介いたしました。

沖縄に15年以上暮らして家族も持ち、沖縄の方から「もうすっかりウチナーンチュさぁ」と言っていただけるようになりましたが、やはり根っこの部分では自分は他所の人間だということを忘れたことはありません。それだけ沖縄には深い歴史があり、独自の文化があります。尊敬の気持ちを持って住まわせていただいているという感謝の気持ちを忘れずに、これからも沖縄での暮らしと子育てを家族と楽しんでいきたいと思います。

何年暮らしても、この沖縄病は治りそうにありません。

(文/まいこ、編集/OKINAWA GRIT 代表 みやねえ

 

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