じーっ。眉間にシワよせてパソコンを凝視する。
今年、2023年にシアターで見た最新映画のまとめを書こうと、Notionに書き溜めた映画リストを見つめていた。無機質な機械と睨めっこしたまま、キーボードに触れた手が微塵も動かない。かれこれ1時間が経過していた。
「ランキングは、さすがにムズい」
ランク付けなど、できぬ〜!と結論づけて、あることに気づいた。個人的な解釈と嗜好によると、どうやらファンタジーよりも、社会派やヒューマン系が強く印象に残ってるらしい。思考深く潜って抜け出せず、メンタル持っていかれる感じ。疑問と考察が止まらない、いわゆる深くて重いテーマだ。
今年も邦画を中心に、56本の最新映画を鑑賞しました。週イチペースです。観たい映画って自分の好みが反映されますね。でも沖縄では上映しない映画もあって杉咲花さん主演「市子」が観れない無念さ。確か「Winny」も東京で観た気がします。
今年は映画の感想をアウトプットすると決めて、X(旧Twitter)では文章長すぎ、noteだと短すぎて、相性よかったインスタに投稿してます。
さすがにランキングは忍びないため、邦画中心に「映画ベスト10=10個の映画」を選んでみました。
目次はこちら
原作マンガやオリジナル作品「新境地の表現力」
今年も想像の域を超えた、新境地の表現力で映画業界を盛り上げた作品が多かった気がします。そのうち、6作品を選んでみました。
1. 斬新な作画と表現力の化け物「THE FIRST SLAM DUNK」
マンガ全巻読み終えて、挑んだアニメ映画「THE FIRST SLAM DUNK」。
バスケットボールの疾走感を漫画で表現し、漫画の可能性って無限大だなと感じた原作。アニメ化から映画化へ。沖縄出身・宮城リョータの物語が新たに追加され、生い立ちの背景を知ることで感情移入深まる。
オープニングから鷲掴みにされて、これはアニメの新境地か!と作画に驚いた。淡くて繊細なタッチに、3DCGアニメならではのリアルな動き。絵コンテ風のキャラ登場に、The Birthdayの曲「LOVE ROCKETS」が見事にマッチ。色がつき、走り出し、山王戦が始まる。カッコイイの一言だった。
特に興味深かったのが、この4点でした。
❶極限まで台詞を省き、動きと表情で語りかてくる
❷ここぞ!の場面で「強烈な伏線回収+音楽効果」
❸宮城リョータの物語
❹未来を創造する!新境地のアニメーション
漫画を読んで(or アニメを見て)ないと素通りしてしまう、読者なら感極まるいくつかの場面。自分だけが「あっ。見つけた!これこれ!!」なんて嬉しい錯覚を起こしそうで、熱が高まる仕掛けもまた面白かった。共感も感動もオーバーヒートする。激しく熱い余韻が残る映画でした。
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2. 映画館がジャズライブ会場と化す、途轍もなく熱い「BLUE GIANT」
動くバスケ漫画「SLAM DUNK」の次は、音が聴こえてくるジャズ漫画だと…?! またもや漫画全巻を読破して、マジかあ… と涙腺崩壊。その余韻を引き連れたまま、ジャズのアニメ映画「BLUE GIANT」を観てきました。
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あまりに高温なため赤を通りこし、
青く光る巨星、青色巨星のことを
『BLUE GIANT』という。
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天性の才能を持つ、宮本大(声:山田裕貴)を指す言葉だ。
山田裕貴 × 間宮祥太朗 × 岡山天音の俳優陣が声優を務めて、ご本人の存在を忘れるほど、漫画から現れたキャラクターそのものだった。ライブシーンが始まると足が小刻みにリズムを刻む。これは映画を観てるんじゃない。ジャズライブを観ているんだ…!!
上原ひろみさんのピアノが踊りだす。馬場智章さんのサックスが暴れ出し、石若駿さんのドラムソロ。なんか、なんか、ジャズって最高!!全身が感動で震える感じ。武者震いのように背筋がゾクッとした。
「オレは、世界一のジャズプレーヤーになる」
宮本大の思いと言葉に観てる側も魅せられる。青春、友情、家族愛、恩師との絆。クライマックスへ向かうにつれ、感動もヒートアップする。夢や希望が詰まったサクセスストーリーに始終、熱い思いが纏わりつく映画だろう。
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3. アカデミー賞を総なめ「Everything Everywhere All at Once」
映画って、2回目のほうが理解が深まり、感動のボルテージが上がる。
エバエバこと、映画「Everything Everywhere All at Once」を観たとき、解読不明なモヤっと感が拭えず、2回目鑑賞。視界がひらけて思考がクリアになった。すべてが繋がり理解が深まるほど、大きな感動が降り注ぐ。
コインランドリーの運営や父親の介護など、慌ただしい毎日を過ごすADHD気質の妻。ミシェル・ヨー演じる主役エヴリンの幻想が生み出した壮大な物語だ。よくよくこの映画を理解すると、たった1日の出来事なのだ。マルチバースで表現した世界、その意味に納得して、映画の凄さをを噛み締める。
人間の心の中に棲む葛藤や戸惑い、漠然とした未来への不安。親の介護に、家庭と仕事の両立の難しさ。人生の岐路に立ったとき、何を選択するのが正解なのか。そして、偏見や固定観念に捉われていないか。そこに移民問題、LGBTなどの社会課題も突きつける。
演出も映像も、キャストもアクションもその表現力も、未知の領域に踏み込んだ大傑作。アカデミー賞7部門受賞の面白さは半端なかった。
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4. ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE
ミッション:インポッシブルシリーズ7作目。とはいえ、途中を飛ばして最新作を観たため、人間模様や繋がりを理解せずに映画鑑賞へ。序盤の潜水艦シーンから猛スピードで駆け抜けていく。専門用語のオンパレード。字幕を読んで理解して、展開の速さに必死についていく。んっ。どういうこと?なんて一瞬でも意識を止めたら話に追いつけない。
トム・クルーズ演じる主役のイーサン・ハントは、スパイ組織IMFに所属するエージェント(スパイ)。軽やかに、鮮やかに、相手を罠にはめて指令を全うする。そして初登場のグレース。今度はイーサンが罠にはまり、危機的状況へ。この波乱万丈でスリリングな展開がドはまりする。
映画「ミッション:インポッシブル/デッドレコニング PART ONE」でもアクションが見事。トム・クルーズが崖からバイクで飛び降りるシーン。メイキングを見て絶句…!トム、命知らずだな。カーアクションにバイク、砂嵐の銃撃戦、列車の屋根で乱闘、終いには列車で宙吊り状態。そして潜水艦へ。すべてのスケールがデカい。予算と時間をかけた分、迫力が違う。
ラストを見て、続編…!! 次回作は、2025年公開予定らしい。
5. 今までの特撮と比較にならない怖さと面白さ「ゴジラ-1.0」
戦後という殺伐とした時代背景と、ゴジラの脅威が異様にマッチして、映画「ゴジラ-1.0(マイナスワン)」が巧妙に危機感をあおってくる。
おお… ゴジラ、怖っ!!!
第二次世界大戦の終戦寸前、大戸島飛行場に1機の零戦が着陸する。何やらいわくつきだ。なぜならこの零戦の操縦士は特攻隊だったのだ。敷島浩一を演じる主演の神木隆之介さんが、神業の演技力。自分だけが生き残っている罪悪感に苛まれ、悲痛な表情でもがき苦しむ。芸歴28年、今年30歳を迎える俳優・神木隆之介の俳優魂、その奥義を見た気がした。これは絶賛したい。
浜辺美波さん、安藤サクラさん、吉岡秀隆さん、佐々木蔵之介さん、青木崇高さん、山田裕貴さん。演技派俳優たちがキャストに揃い、キャラに強弱が生まれて、適材適所の役回りが映像の中で生きてくる。
ラストの感動がほとばしるなか、エンディングを観ていると背筋がゾクッとするほど、震え上がります(笑)。
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6. 今度の舞台は横浜!劇場版「TOKYO MER~走る緊急救命室~」
沖縄に初上陸した、TOKYO MER のERカー”TO1”を見て、映画の熱が舞い戻る。横浜ランドマークを舞台に横浜市消防局が全面協力した劇場版「TOKYO MER~走る緊急救命室~」リアリティにこだわった過酷な撮影現場と踏み込んだ映像。全力疾走のハイスピードで展開する物語に緊張と感動が交互にやってくる。俳優陣の役者魂を猛烈に感じて、全身全霊でかぶりつく。
鈴木亮平の勢いが止まらない。どこまで進化し化けるのだろう。鈴木亮平さん、無敵だなあ。序盤の数分で、うわあ… TOKYO MERだ。喜多見先生だ…!ドラマの余韻が溢れ出して、ウルッときた。
TOKYO MERは都知事直轄の医療チームであり、救命救急のプロフェッショナルチーム。その使命は「死者を一人も出さない」ことだ。新たに登場したYOKOHAMA MER。チーフであり、頭脳明晰で容姿端麗な鴨居先生こと杏ちゃんの登場がいちいちカッコイイ。東京と横浜の対立構造から始まり、終盤で「YO1、オープン」と喜多見先生が言ったとき、東京と横浜のMERが互いに手を取り絆を深めた証を感じた。
「死者はゼロです!」
最後はお馴染み、ゆり子ステップ。笑って、泣いて、鼻をすすり、感動してまた泣く。とにかく感情が忙しい。救命救急の現場をリアルに描き、大規模な撮影に挑んだ映画。全スタッフのパッションがほとばしるほど、そこには熱狂があった。
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生きづらさ、苦悩や葛藤。切なくも感動を呼ぶ映画
当時の時代背景、苦悩や葛藤が狂おしく切ないけれど、最後は感動に浸ってしまう。そんな映画から4つ選びました。
7. 時代劇の大作「レジェンド&バタフライ」
木村拓哉 × 綾瀬はるかW主演。東映70周年記念として大作の時代劇に挑む。映画「レジェンド&バタフライ」も強烈なインパクトがあった。
織田信長役の木村拓哉さん。正室の濃姫を演じる綾瀬はるかさん。二人の掛け合いも面白く、気迫に満ちた演技がぶつかり合う。豪華な時代劇のセットと音楽の共鳴、迫力ある戦シーン、主演二人の壮絶な演技。すべてが交わり、圧倒される作品に仕上がっていた。
お家のしがらみや騙し討ち、味方が敵に、敵が味方に。討つか、討たれるか。想像を絶するほど、天下取りへの道は激しく険しい。そんなことを、この映画が再認識させてくれる。
戦乱の世に「天下布武」を目指した武将・織田信長と、それを支えた正室・濃姫の三十年間。心と心、命と命のぶつかり合い。荒々しくも、清く儚く切ない物語。そしてクライマックスの迫力!涙腺崩壊、必須です。
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8. 菅田将暉と森七菜の底力、身を切る演技「銀河鉄道の父」
「銀河鉄道の夜」の著者・宮沢賢治。その父親・宮沢政次郎を主役に、当時の時代背景と対峙しながら家族愛を育み続けた宮沢家の物語です。
映画「銀河鉄道の父」は胸を打つレベルが尋常ではない。泣いて、泣いて、たまに号泣、そしてまた泣く。とはいえ、幸せのカタチそのものな家族愛に満ちた温かさ、ほのぼの感にニヤつく。そして物語はゆったり進む。
宮沢賢治の人並み外れた想像力と感性が、良くも悪くも賢治自身を揺り動かす。未来への閃きや壮絶な悲哀、優しい人格がもたらす闇と光が両極端に振り切る。閃きも心の弱さも優しさが根底にあり、繊細な心ゆえに誰もが素通りする事柄に一つ一つ葛藤してしまう。宮沢賢治に昇華した菅田将暉さんが一流俳優への階段を軽々と登り、心を揺さぶる壮絶な演技だった。
賢治を見守る一番の理解者が森七菜さん演じる妹のトシだ。ブレない意志と凛とした姿勢にリスペクト。とにかくカッコイイ。その最愛の味方、トシが衰弱する姿をみて虚無感に苛まれる賢治に共感し、感情移入する。
「南無妙法蓮華経…」と口にしながら彷徨うシーンは脳裏にこびりつくほど賢治の哀傷が痛ましかった。あれは何度見ても、きっと泣く。
宮沢賢治の優しさがこの世に童話を解き放ち、親バカっていいなと思わせる父・役所広司さんの名演技。あまり多くは語らず、たった一つの台詞がパンチを放ち、そのシーンが残像となって記憶に残る。だから脚本が絶妙だし、ひたすらに映像が美しい。音楽が物語を盛り立て、お芝居から俳優陣の言霊を受け取った。この映画のキャスト、最高だな。
今年のトップ5に残るほど、強烈なインパクトを放つ感動作でした。
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9. 是枝裕和監督×脚本・坂元裕二がタッグを組んだ「怪物」
この映画を誰の視点で観るか。。三章にわたる緻密な構成と伏線回収に度肝を抜かれた。主なる人物を章ごとに入れ替えるだけで話の矛先が反転してしまう。ガラリとすり替わるシナリオ。偏見や思い込み、固定観念を一瞬で吹き飛ばすパワーがあった。
第1章はシングルマザー麦野早織(安藤サクラ)の視点で描かれる。息子の麦野湊(黒川想矢)が担任の保利道敏(永山瑛太)からイジメを受けてると疑問視する母親が学校へ乗り込む。田中裕子扮する校長と保利先生、教頭(角田/東京03)の対応に苛つき、母ひとりで学校と対峙しようと決意する。
が、そこから同級生の星川依里(柊木陽太)が登場し、話が二転三転していく。何が真実か、誰が正しいのか。自分ごと化して映画にのめり込む。ミステリーのような展開にソワソワする。ステイタスにこだわる保利先生の恋人。人間性が破壊した依里の父親。行動の意図が読めないクセモノの校長。
点と点が繋がり線になったとき、真実へと辿り着く。誰しも人に言えないことってあるよね? 最後にすべてを理解すると、言葉にできない虚しさがよぎった。
「だって。彼らは悪くないのに」
観る者の解釈によって結末が変わる。特にラスト、子どもたちはどうなったのか。この映画の先にあるもの。それは希望なのか、絶望なのか。社会課題も捉えた問題作、2023年の傑出した邦画だろう。
10. 人間模様と策略が絡まり合う、スリリングな「法廷遊戯」
原作知らずに観て、すこぶる面白かった映画のひとつ。先が読めない展開に最後までドキドキが続くミステリーながら、張り詰めた緊張感に包まれる。
映画「法廷遊戯」の主演は永瀬廉さん。杉咲花さん、北村匠海さんも物語のキーマンだ。3人の個性と存在感が突き抜け、作品の面白さを押し上げる。深さと軽さの狭間で巧みに絡まり合う人間模様がまた愛おしい。冷静沈着で感情を読めないミレイ役・杉咲花さんの七変化に感情を揺さぶられ、一瞬で場の空気を変える演技は魔力のようだ。
凛とした佇まいとカリスマ性が存在を際立たせる、北村匠海さん演じるカオル。セイギ役の主演・永瀬廉さんは新境地の演技を見せる。場面ごとに心境の変化が現れて、微かな心の変化を目と表情で語りかけてくる。3人の関係性が物語のキーとなり、猟奇的な戸塚純貴さんも見ものでしたね。
映画を鑑賞したあと、余韻とともに漠然と湧いてきた疑問。
「誰が最も、策士だったのか」
そこから想像が膨らむ。その先へと思考が動きだす。うわわ、そういうことか…!? 映像にはない武者震いするようなアナザーストーリーが成立していた。3人の人生が、どうやって現在へたどり着いたのか。
観賞後の考察から、真実の物語へとたどり着く。
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[ 補足 ] 原作は漫画。アニメから実写化へ
選んだベスト10と引けを取らない漫画の実写化。キングダムはベスト10入り確定でしたが、テーマ的にこちらで紹介してます。
◾ キングダム3作目!壮大なスケールで描く「キングダム 運命の炎」
3作目は秦王・嬴政の幼少期「紫夏編」と趙軍が秦国に侵攻する「馬陽の戦い」の2部構成です。「馬陽の戦い」といえば、中華全土を巻き込み時代を動かす男・趙国の李牧と、王騎との因縁を持つ魔神・龐煖(ほうけん)が登場する。秦国を翻弄する大きなうねり、その序章の始まりだ。
原作ファン待望の「紫夏編」実写化に心躍り、歓喜した人は多いと思う。嬴政の幼少期を吉沢亮さん自身が演じると予告編から察して、杏ちゃんは出で立ちまで闇商人・紫夏そのものだった。
紫夏から嬴政への恩送り。紫夏役・杏の決意と怒り、幾重の想いが詰まった「殺させない!」という台詞に尊いほどの愛と希望を感じて、号泣した。
山﨑賢人の信が、全力で走る。清野菜名の羌瘣は、腕を広げて走る。そして怪力伍長の竜川が、猛突進で走る。殺気立つ戦場の緊迫感と飛信隊の疾走感。殺陣のスピードに、激しく美しく羌瘣が舞う。
「行けー、信!」
この短い言葉に詰まったいろんな思いが、熱い感動を誘い、自然と涙がこみ上げた。人と人とのぶつかり合いの中で生まれた、信頼という分厚い絆の深さを知る。映像にしろ、音楽にしろ、圧倒的な製作費をつぎ込んだ圧巻のスケールだった。原作を極限までリスペクトした春秋戦国時代の厳粛さと戦場の荒々しさ、俳優人の覚悟みなぎる演技とアクションに胸が熱くなる。
秦の怪鳥・偉大なる王騎将軍よ、いざ宿命の戦いへ。4作目も楽しみです。
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◾ 乱闘シーンの迫力!そしてマイキー健在。東京リベンジャーズ2″血のハロウィン編” 前編-運命- + 後編-決戦-
血のハロウィン編は前後編の2部作。前編の見どころは、村上虹郎演じる羽宮一虎と場地圭介がバブを盗むシーンだ。マイキーの兄・真一郎が初めて登場する。しかも高良健吾だと…!? ほんと東リベは豪華な配役だな。
そして思った。実写になるとこんなにもリアルなのか。乱闘シーンやカークラッシュに緊張が走り、東京卍會結成の回想シーンにほのぼのした。
後編のキーマンは、やはり場地圭介だろう。松野千冬役の高杉真宙の絡みもいい。廃車場の乱闘シーンは長く、稀咲たちがマイキーを狙い激化する。そして、場地の死。心が壊れたマイキーが悍ましいほど狂気にまみれた。闇に閉ざされたマイキーをタケミっちが救う。熱い、このあたり胸熱だった。
マイキー吉沢亮とドラケン山田裕貴は相変わらず絵になるし、嘘だろ?と思えるほど俳優陣がキャラクターに寄せてくる。壮絶なストーリーだけにキャラの人格が二重三重と変化して、俳優陣も同一人物とは思えない多重な顔をのぞかせる。
実写のリアルさも物語の展開も、原作を裏切らない映画だと思った。一時はどうなるかと思ったけれど、後編公開に踏み切った監督や制作陣、全フタッフを称えたい。現在、アニメでは天竺編を放送中。目が離せませんね。
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◾ 待望の広島編!大人気ドラマの映画化「ミステリと言う勿れ」
そもそも原作漫画がぶっちぎりに面白く、実写ドラマも好評だった「ミステリと言う勿れ」が、念願の広島編が映画化された。この物語を描いた漫画家・田村由美先生の思考は宇宙レベルか、すごすぎる。
配役もロケ地の選定も、古びた蔵も大きな屋敷も、それらが醸し出す雰囲気すべて、原作の再現性が完璧か。映像の節々からこだわりが伝わり、胸の内で拍手喝采していた。丁寧に作り込まれた映像と配役のキャラクター。物語の展開や構成が絶妙にバランスよく、久能整くんのパンチある格言が、響く響く。難易度高い”広島編”をきれいに仕上げてきたなと思った。
広島編は、狩集汐路という女の子が「久能整くん、バイトしませんか?」と助けを求めることから物語が始まる。狩集家の遺産相続バトルだ。死人が出るかもしれない。もしや犬神家の一族?!と久能整くん1人ツッコミ。
やっぱり「ミステリと言う勿れ」面白いなあ。ほんと好きだな。
謎が謎を呼び、物語は予想外の方向に進んでいく。整くんの推理が鮮やかに決まったとき、結末を知りながらも、ラストの結末に衝撃を受ける。昇華できない深い悲しみと頑固な優しさを受け取って、ぐわぁーーと涙が流れる。
汐路の父・滝藤さんの笑顔に泣かされて、狩集汐路役の原菜乃華さんが、まさに天才だった。そして菅田将暉さん、アナタ最高だ。
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[ おまけ ] 生きづらさを描いた傑作映画たち
今年最大の話題をさらった映画といえば、スタジオジブリの新作「君たちはどう生きるか」でしょう。予告編とキャスト未公開。事前情報ないまま公開初日を迎え、パンプレットも後日発売。個人の解釈に委ねた難易度の高さ、ジブリ作品の総集編かと思える構成がジブリファンを唸らせた。
多様性に疑問を投げかける、朝井リョウさんの小説を映画化した「正欲」は偏見や思い込み、固定観念への違和感をあらわにした異色の映画。考察するほど考えさせられるテーマが潜んで、複雑に絡み合う。
アイナ・ジ・エンドが主演を務めた岩井俊二監督作品。音楽映画を銘打った「キリエのうた」では音楽と歌声のパッション、その世界観に没入する。東日本大震災の傷跡を残し、光と影を対比したストーリー。繊細な心を持つキャストたちの葛藤や苦悩、異質であり温かく心地よい人間模様が救いとなって生きる意味を教えてくれる。とても好きな世界観でした。
どこか孤独で、どこか優しい「かがみの孤城」
若者が共感できる戦争映画
「あの花が咲く丘で、君とまた出会えたら。」
沖縄の貧困と若年出産を題材にした「遠いところ」
こうして見ると、山田裕貴さん、北村匠海さん、菅田将暉さんの主演・出演作品が多いこと。2024年も新たな映画スターの誕生が楽しみです。
以下、固定観念に一石投じる異色作。人は何に苦しみ、何に救われるのか。その根底にあるのは良くも悪くも「人との繋がり」なんだと思います。
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◾2月14日(水)スタート!ライター育成講座を開催します